山梨岡神社

「やまなし」の語源発祥の地

山梨県笛吹市に鎮座している神社で、県名の「やまなし」の語源にもなっている神社です。

山海経に登場する神「キ」を祀る神社で、古文書の甲斐古蹟考にも出てくるので行ってみました。

− 山梨岡神社の由来 −
『 延喜式神名帳に載る古社で、旧社格は郷社である。人皇10代崇神天皇のとき、国内に疫病が流行し災害も多い故、勅命により御室山頂に創祀され、その後、第13代成務天皇の御代に麓の梨樹を伐り拓いて神戸を遷し「甲斐ヶ根・山梨岡神社」と号したのである。「やまなし」の語源発祥の地であり、大字「しずめ」の地名も往古軍団が屯した名残りである。』
(案内板より)

本殿

祭神は大山祇神、別雷神、高オカミ神。

社殿は飛騨の工あるいは武田の番匠の造営と伝えられ、室町時代の様式を残し、春日造りとしては手の込んだ珍しい構造だそうです。

画像Wikipedia
− キノ神 −
山梨岡神社では正規の祭神とは別に一本足の「キ」を祀っていて、飛騨の匠が作った木像があり、10年に1度(現在では7年に1度)4月4日に開帳され、雷除け・魔除けの神として信仰されているそうです。

「キ」は元は殷代に信仰された竜神の一種で、古代中国の書経や山海経に登場し、動物、人物、または妖怪とされ、一本足で牛に似ているとも言われます。このキと鳳凰の姿を裏に描いた鏡を「キ鳳鏡」といい、中国では3〜5世紀頃に盛んに作られ、日本でも古墳からの出土物や神社の伝世鏡の中にキ鳳鏡が見られるそうです。
本殿の隣に正一位稲荷大明神を祀る稲荷神社がありました。
神楽殿

山梨岡神社の太々神楽は別名を「武田信玄出陣の神楽」とも言い、出陣に際し勝利を祈願して奉納した神楽だそうです。

− 山梨岡神社 太々神楽 −
『 社伝によると別名を「武田信玄出陣の神楽」とも言い、出陣に際し勝利を祈願して奉納した神楽であるという。24種の舞があるが、いずれも天の岩戸の故事を中心とした古事記神話の世界を表現した、いわゆる出雲神楽の系統に属するものである。春の例大祭に昼夜2日間にわたって執行されるが、24種の舞の順序は古来変わることがなく、「四方舞」に始まり、正午に「天の岩戸」が開かれ、最後に祭神の「大山祇命の舞」で舞い納めることになっている。

このうち20番目にあたる「四剣の舞」は「久米舞」とも言われ美しく着飾った四人が剣を片手に舞うもので、その由来は、神武天皇が大和の宇陀で勝利の宴をはったさい、久米氏の兵士たちが天皇の詩歌が歌いながら舞ったのに由来するとされ、その前段はゆるやかに雅やかに、降段では剣を振るって勇壮に舞うもので、誠に格調高く見事な舞である。』
(案内板より)

山梨岡神社の所在地:山梨県笛吹市春日居町鎮目1096